ピアノ教室復活支援会「希望」本当に今、必要なことなのか?

東日本大震災 ピアノ教室復活支援会 「希望」 というボランティアグループがあります。
被災しなかったピアノ教室の先生たちが、被災したピアノの先生に仕事復帰される日のために楽譜を届けるという活動をしています。

この楽譜支援「希望」をもう一度、ピアノの先生みんなで考えてもらえればと思います。

 

これは、問題提起です。

 

本当に今、必要なことなのか?

今、そんな波風立てる必要もないのかもしれないけれど、ずっと疑問に思っていました。
「本当に今、必要なことなのか?」と。

この記事は、数日前に岩手 北上市のピアノ教室「カンタービレ」さんが書かれていたことが、すごく自分の思っていたことと同じで的を得ていると思ったので書かせていただきました。

以前、【ハルモニア】高橋さんが書いた同じような記事にも非公開ですが、4/13にコメントさせていただいてました。

ドルチェだいあり~「楽譜支援について、最後に書きます」

 

もう一度繰り返しますが、
「本当に今、必要なことなのか?」

「今」ということがものすごく重要です。

 

タイミングが大事

ビジネスを検討するとき、参入タイミングはものすごく大事です。
数年前の中国で、長者番付一位の人はエアコン会社の社長だったと聞いたことがあります。
日本では、長者番付一位の人がエアコン会社の社長ということはまず考えられない。でもその答えは納得出来る。
エアコンの普及していなかった中国が裕福になり、一気に快適な生活をおくれる道具であるエアコンに需要が集まったからです。

日本にも東京オリンピックの頃、テレビ・洗濯機・冷蔵庫など爆発的に売れた時期があったと聞いたことがあります。

適切なタイミングで、需要のあるものを提供することができれば、ビジネスは間違いなく成功する。

 

ボランティアとビジネスの共通部分

今回の楽譜支援「希望」は、ボランティアです。
ボランティアとビジネスは違いますが、共通する部分がたくさんあります。

ビジネスでは「お客の需要に応える」というすごくシンプルな原則があります。
お客の需要に応えられたからお金がもらえるということです。

ボランティアの場合、このお金というものが発生しません。だから成功したかどうかが曖昧になってしまいます。
でもボランティアも「需要に応える」という目的はまったく同じです。
対象者が、「お金を払うお客様」から「お金を払う必要のない被災者」に変わっただけですからね。

 

この楽譜支援「希望」は、この原則が満たされてない。

 

マーケティングが足りないのです

提供する側が、需要を調査せずにすすめてしまっているのではないでしょうか?
結果、提供する側の満足感は得られますが受け取る側に満足感が得られないのではないでしょうか?

 

マーケティングが足りないのです。

 

ドラッカーのマーケティングの定義は
「顧客というものをよく知って理解し、製品が顧客にぴったりと合って、ひとりでに売れてしまうようにすること」

コトラーのマーケティング定義は
「どのような価値を提供すればターゲット市場のニーズを満たせるかを探り、その価値を生み出し、顧客に届け、そこから利益をあげること。

 

被災者の人達と、とことん話し合いニーズを汲み取り、価値のあるものを提供する努力が足りてない。

ボランティアだからまだ形になっているのであって、ビジネスでは絶対に成り立ちません。
その点ビジネスはシビアです。

自分が思うボランティアとは、
「お金を払ってでも、今すぐしてほしい」ということを、無料でしてあげることだと思うのです。

活動自体を否定しているものではありません。
自分の貴重な時間を使って、この企画を立ち上げて頑張っている石嶺先生や協力している先生達を応援しているからこそ、是非、意義のあるものにしてほしいと思いこのような記事を書きました。

 

頑張る方向性

昨日、私が書いた記事にすごく当てはまってしまうのです。
『「頑張る方向性」を間違ってしまうと目標を達成することはできない。
だから、その設計図づくりに、まず頑張りましょう』

これだけ大きな先生のネットワークがあるのですから、今からでもいろいろな意見を交換して、一番よい方法を検討されてはいかがでしょうか?

 

今のタイミングで必要なものは、労働力とお金

これだけ好き勝手なことを書いて、自分のアイデアを提供しないのも失礼かと思いますので、1つアイデアを書きたいと思います。

まず、被災しているエリアの先生達にたくさん話しを聞くことが優先ですが、自分の推測だと、今の段階で楽譜を必要としている人達は極めて少ないと思います。
よって、楽譜を提供するのであれば、タイミングとしては早すぎます。数年後であれば必要な時期がくるかもしれません。

今のタイミングで必要なものは、労働力とお金。
労働力があれば、瓦礫の山を片付けたりできますので、もっとも必要としていることです。
また、お金があればその労働をしてくれる人を雇うこともできるし、将来必要な楽器だったり楽譜だったりに交換することができます。

被災者が自由に自分の必要としているものと交換できる道具がお金なのです。

 

楽譜販売という方法

労働力が現実的に無理であれば、お金が一番効率のいい援助ができると思います。
そこであくまで私のアイデアですが、楽譜を販売してみてはいかがでしょうか?

現在集まっている楽譜を、現在ピアノ教室を運営している先生や今楽譜を必要としている人達に買ってもらうのです。

その楽譜販売で集まったお金を、被災したエリアの楽器店やピティナなどにピアノ教室ができなくなった人達のリストをつくってもらい、お見舞い金として分配する。
もちろん、被災者が楽譜のリストを見て、「この楽譜をほしい」と要望があれば、無料でおくってあげます。
この作業は、たぶん半端じゃなく大変になると思います。でも、楽譜が無駄にはなりませんし、最も重要な被災者の要望に応えることができる。

今の状態で郵送して、被災地で楽譜の展示会をしても、本当に困っている被災したピアノの先生には届かないのではないでしょうか?
本当に困っている人達はその展示会会場までもいく余裕がないのではないでしょうか?
そもそも、楽譜よりももっと必要なもの・ほしいものがあるのではないでしょうか?

是非、ピアノの先生はもう一度、どのような活動がピアノ教室復活支援会「希望」として正しい道なのか、考えてみてください。

ピアノ教室復活支援会「希望」本当に今、必要なことなのか?” に対して6件のコメントがあります。

  1. あらいちひろ より:

    実は私も同じ事をずっと考えていました。
    このアイディア自体は良いと思って自分のブログでも
    すぐに紹介したのです。
    しかし、その後の展開に私は戸惑いました。
    何故、もう現地入りして被災地に楽譜を届けているのか?
    実際の被災者さんたちは、今はまだまだ!それどころではありません。
    偽善になってはいけないと思います。
    「その時が来たらお贈りする」つもりで
    今から楽譜を募り、いつでも発送できるようにしておくのは
    良いのです。
    でも、何故既に楽譜が被災地に届けられているのか?
    被災地の楽器店さんのお話もどなたかの記事に書かれていましたが、
    その地域の先生方の消息すらわからない状態で、どうにもならないというような事。

    ちょっと(かなり)行き場の無い想いを抱えていた所、
    このように書いて頂いた、と言いますか、同じように
    思っている方がいらっしゃるとわかり、自分が外れているわけじゃないと思えた事に安堵しました。

    私自身、決してその活動を否定はしていません。
    ただ、「時」は重要です。

    1. 咲本 より:

      あらいちひろ様

      こんにちは。咲本です。コメントありがとうございます。
      やはり、同じように疑問を感じていた人がいるんですね。

      「時」は重要ですよね。自分はピアノ講師ではないですから、楽譜の価値がわかりません。「楽譜が命」と聞いて、「わからないけど、ピアノの先生にとってはそういうもんなのかなぁ」と思っていました。妻にも聞いてみました。「そういう人もいるんじゃないのかな」とそっけない返事です。
      自分は読書が好きなので、書籍と楽譜は同じような感覚なのでは?と思いましたが、それでも、読書をするのは時間が空いたときや気分転換に読むことが多いです。一生を左右するぐらい衝撃を受けた本であっても、それは通常の生活に戻ってから、買い直せばいいことですからね。
      やっぱりお腹が減っていたら、読書なんて忘れてごはんを食べにいくし・・・。

      今回楽譜支援のあり方について、同じような想いの人がいることが、伝えられてよかったです。

  2. さくらら より:

    咲本さま こんばんは

    昨日コメントいただいたのご主人の方だったのでしょうか。奥様かと思ったりしていました。(^_^;)

    どちらにしてもありがとうございます。m(_ _)m

    内輪にしか理解できないようなあいまいな表現を、ピアノ教師でない誰が読んでもわかるように理路整然と書いて下さって助かります。さすがですね。

    私が発起人の方にはじめに送ったメールは挑発の意味(^_-)もあって相当感情的な文章。相手の方も頭に来たと思います。

    でもどう考えても納得できないし、自分がお気に入りに登録してる先生までが関わって協力してるので我慢できずにブログに書いちゃいました。

    数年前まで高校に勤めてて、ピティナとかピアノの先生方のしがらみ何もないので怖い物なし(笑)です。

    被災地学校現場はかなりの数、避難所になっていて、岩手の元同僚、宮城の大学の仲間が対応してます。被災現場のリアルな状況が伝わってくるのでピアノの先生だけあんまりずれてるのもどうなのか…とも思ってました。

    「希望」方法等、改善してくれたらいいですね。

    以下教室について。

    今の私の体力だと、週5日・1日5人が限界。子供でも90分で2人。大人だとレッスン1時間半+お茶という悠長な働きぶり。当然儲けは出ません。(^^;)

    まだ2年未満ですが、ブログと口コミだけで今年で20人いきそうです。

    都会とは人口密度、親の経済力、全然違うので80人は無理ですが、経済的に困った時に備えてこちらのブログ参考にさせていただきます。

    こんなこと書いてる時にもまだ停電・断水・GSスタンドなし、体育館の避難所にいる人が大勢いること忘れないようにします。(;_;)

    また機会がありましたらよらせていただきます。(^_^)/~

    1. 咲本 より:

      さくらら様

      こんにちは。咲本です。昨日コメントしたのは、妻ではなく自分です。
      今回のことではじめて知ったのですが、他のピアノの先生とのしがらみなどで、思ったことが言えない人達が結構多いんですね。本意でなくてもその作業を手伝っている人もいます。
      たくさんの方からメールを頂きましたが、「支援という名の暴力を阻止してほしい」と書かれている方もいました。
      自分は阻止できるような立場ではないんですが^^

      自分はピアノの先生との関係もありませんから、自由に発言できる立場です。

      楽譜支援を信じきって手伝っていた人からは、嫌われてしまうかもしれないけれど、まあ、いっかという感じです。

      好かれるためにブログ書いているわけでもありませんからね。

      さくららさんの、発言がたくさんの人の心を動かしていると思いますよ。

      自分はボランティアで協力できるだけの時間もありませんので、募金で協力しています。あまり出過ぎたことはしたくないのですが、ネットを使えばみんなの意見を集める方法はいくらでもあると思います。

      被災地の声をしっかり聞き支援の方法など、改善してほしいですね。

      支援しようという気持ちはすばらしいことなのですから・・・。

  3. ことなりままっち より:

    この活動、私も当初、よいことだと思っていました。
    趣旨は間違っていない。でもこのところなんだか分からない違和感をずっと感じていて、それが一体どこから来るのか、ずっと考えていました。

    そう、行動が急ぎすぎなんじゃないか。
    そんなに早く楽譜を送って、使える先生は割りと被害が少なかった地域の先生で、でも本当に必要としている方は今、楽譜どころでは、ピアノどころではないのではないだろうか。
    先日、PTNA名古屋支部の先生が、被災していらした先生に状況をお伺いした、というお話を伺いました。想像していた以上にひどい状況の中、逃げていらしたのだそうです。その先生は生徒も行方が分からない、ピアノも家もなくした、でもとりあえず逃げてこられたから少しずつでも仕事は出来るのでありがたいというお話をされていました。
    逃げられない方はどうなんでしょうね・・・。

    地震ではありませんが、私、東海豪雨の被害者です。教えに行っていた教室のあたりも浸水した地域で、私自身は被害が少なくて生徒も無事でしたが、水が引いたあともいつまでも、浸水被害に遭った家財道具などが積み上げられていました。
    水害だけでも完全に色々なものを撤去したり、普段の生活に戻るまでに時間がかかるのだから、今回のようなことになったらいった何年かかって生活を立て直すのか。

    今すぐほしい方に届けるならそれはいい。でもそれだけで終わらせて欲しくないな、と、思います。

    1. pianohp より:

      ことなりままっちさま

      コメントありがとうございます。

      私も同意見です。皆さんがいろいろなところで、楽譜支援について考えたことによって、良い方向に進んでいるみたいですね。

      あとは陰ながら応援するだけです。適切なタイミングで楽譜を届けることができれば、必ず喜ばれることですからね。

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